社屋デザインの重要性 ③ デザイン経営の好機

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 ここ数年の間に「デザイン経営」という言葉、概念が徐々に浸透しつつあります。「デザイン経営宣言」(経済産業省・特許庁 産業競争力とデザインを考える会)に記載の定義によるとデザイン経営とは「デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用する経営である。」とあります。デザインを経営手段に取り込み、企業競争力を向上させることでグローバル競争環境を勝ち抜くことを目指す考え方です。残念ながらこれまでの日本の企業ではデザインを重要視してこなかったため経営上の弱点となっています。また、デザインの投資効果について欧米では盛んに研究されており、その効果は数倍以上ということが知られています。

 これは単に商品開発にデザイナーを参加させましょう、といったレベルの話ではなく下記2つの必要条件を満たすことが求められます。

 ① 経営チームにデザイン責任者がいること

 ② 事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること

社屋の新築やリノベーションは経営の根幹に関わる大きな投資です。ここにデザイナー=建築家を起用することはもはや世界の常識となっています。消費者は単に商品の見栄えや機能だけではなく、原材料の出所や企業の理念といった背景まで比較し共感できる製品を購入する時代です。これまで建築物はハコモノと認識されてきましたが、企業の理念や姿勢を発信する媒体でもあるのです。メッセージを送る相手は消費者だけでなく、生産者や従業員、ライバル企業も含まれるでしょう。社屋は企業の“身なり”です。きちんと地域にとって、時代にとって、環境にとって、ふさわしいものに整える=デザインすることで初めて信頼を得ることができるでしょう。

 社屋の建設は企業にとってデザイン経営を社外のみならず社内にも浸透させる絶好の好機と言えるのです。


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