同じような形でも

 写真は私が最も好きな建築の一つ、シーグルド・レヴェレンツ設計「復活の礼拝堂」。スウェーデンにある世界遺産・森の墓地の中に建つ小さな教会です。1925年に建てられたこの礼拝堂は建築界の主役が様式建築から近代建築へと移り変わる時代のうねりを反映するかのように、シンプルな形態の主ボリュームに古典的な列柱と屋根が取り付き礼拝者を迎えています。

 このメインボリュームにサブボリュームがくっついているという構成、弊事務所で設計した「香里園のH邸」にちょっと似ています。実は真似をしました。。。という訳では無いのですが、十字形平面の屋根の構成をいかにまとめるか、という点で頭の片隅で影響はしていたと思います。

 形は同じようですが、実は建築に向う人に対する現われ方はかなり違います。「復活の礼拝堂」は真正面から人を受け入れる招きの、かしこまった形態ですが、「香里園のH邸」の方は町を歩く人が真正面からこの住宅を眺めることはほとんどないでしょう。むしろ側面から見られる、そしてそこがテラスになっていて開口から空が見える抜けた空間です。また、お向かいに建つ家に対する目隠しにもなっていますので、働きとしては「復活の礼拝堂」とは真逆の役割を持つのです。

 同じような形でも、道がどこにどのような角度であるのか、列柱なのか壁なのか、内側からの見え方はどうなのか、などなどあらゆる条件によって建築や空間の持つ意味が変わってきます。外見が似ているからといって、現れる空間の性格が同じでないところに建築の面白さがあると思います。

© Ikeda Hisashi Architects  2015-2022