お蔵入りでもお気に入り

 いろいろな事情により実現はできなかったものの、新しい可能性を秘めた空間になるのではと愛着を感じているプロジェクトが、多かれ少なかれ建築設計に携わる人にはあるものです。私も例に漏れずそんな計画案がいくつかありますので、今日はブログを通して日の目を見させてやろうと思います。

 Projectページにも写真を少しだけ掲載しているのですが、「大きな円弧のある住まい」がお蔵入りでもお気に入りのアイデアのひとつです。実現しなかったのはコンペで勝てなかった、というとても単純な理由です。このプロジェクトではマンションの一室を大きな半径の円形の壁で仕切り、円の内側と外側でプライベートな空間とオープンな空間を分けています。円弧壁は遠近感覚を少しだけマヒさせるので、マンションの一室が実際よりも大らかな空間に感じられるという素敵な副作用もあります。また壁が曲がっているので、家具をピタッと壁にくっつけることができません。そうすると、家具は美術館の展示品のように自立した存在感を発揮するようになります。

 マンションの角部屋であればこのアイデア、応用できます。マンションのリノベーションを計画中の方、大きな円弧のある住まいで暮らしてみませんか!

© Ikeda Hisashi Architects  2015-2018