動かない建築のダイナミズム

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 先日、オランダとベルギーを旅しました。そこで訪れた建築や街で感じたこと・考えたことを少しずつブログに記します。

 まずはオランダのロッテルダム郊外に建つ「ファン・ネレ工場」です。初めてご覧になる方には最近建ったオシャレなビルにしか見えないかも知れませんが、オランダ10番目の世界遺産です。なぜ世界遺産に選ばれたのか、、それはガラスや鉄を多用し、機能的空間を実現した優れた産業建築として評価されたからなのですが、驚くべきは1931年に完成したということ。いかに先進的なデザインであったか想像できると思います。

 上の写真をご覧いただくと、左の建物の壁が湾曲していたり、奥の建物には右の方から2本のガラス張りの棒が突き刺さっているように見えます。左のカーブは自動車の動線をなぞるように形づくられ、右の2本のガラス張りの棒は通路がダイレクトに露になった造形です。

 建物自体は動かない静止した物体ですが、自動車や人、物の動線を形態として表現することで、その場を訪れる人に“動き”を想像させるダイナミックな表現となっています。近代建築以前に主流であった古典建築では左右対称でどっしり構えることが求められましたが、ファン・ネレ工場は古い価値観から飛翔するかのようにダイナミックで軽やかな姿をしています。私たちも古い慣習や思い込みに囚われずに、未来につながる射程をもった建築空間を考え続けたいと思います。


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