建築を地形化する

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 先日、オランダとベルギーを旅しました。そこで訪れた建築や街で感じたこと・考えたことを少しずつブログに記します。

 1992年にオープンしたクンストハル美術館は建築家レム・コールハース/OMAの初期代表作です。美術館らしからぬ建築材料やデザインを取り入れた革新的な建築で、世界中から大きな注目を集めました。25年以上前の建築ですが、素材や空間・物体の構成手法は現代日本の、特に40代の建築家がつくったり論じたりしている建築に通ずるものがあります。もしかすると彼らが学生時代に夢中になった当時の最先端のデザインが、設計思想の基礎の部分に刷り込まれているのかも知れません。

 さて、注目すべき点が沢山あるクンストハルですが、今回、取り上げたいのは「建築を地形化する」ということです。街を歩いていると地面には凹凸があり、私たちは上り坂下り坂を何気なく歩いています。一方、普通の建物では上下の移動は階段やエレベーターといった垂直方向の移動です。上の階と下の階は切り離されています。クンストハルでは垂直の動きではなく、斜めの床で上下階をつなぐことで建築空間をまるで地形のように扱っているのです。建築に斜めのスロープを取り入れたのはレム・コールハースが初めてという訳ではありませんが、斜めの通路を線としてではなく、面として床全体を斜めにしたことは画期的なことでした。オランダはとてもとても平らな国です。だからこそ地形に対する鋭いまなざしがあったのかも知れません。


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