リートフェルト・パビリオン

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 先日、オランダとベルギーを旅しました。そこで訪れた建築や街で感じたこと・考えたことを少しずつブログに記します。

 建築の歴史を語る上で欠くことのできない重要な建築に「シュレーダー邸」(1924年竣工)という住宅があります。これは家具職人からキャリアをスタートした建築家、ヘリット・リートフェルトが設計した住宅で、当時の芸術運動デ・スティルを体現した建築と言えます。デ・スティルといえばモンドリアンの絵画が有名ですが、まさにその絵を立体化したような住宅です。現在は世界遺産にも指定され、予約さえすれば内部を音声ガイド付きで見学することも可能です。

 上写真はそのリートフェルトが設計したパビリオンで、オランダの郊外にあるクレラー・ミュラー美術館にあります。シュレーダー邸では日本建築の襖のように可動間仕切によって内部空間が一体となったり、小さな部屋に分割される仕掛けがあったりと、かなり手が込んでいます。実際に間仕切を動かすところを見ましたが、どうも仕掛けが過剰で自由をもたらしたいとの工夫が、かえって建築からの心理的な圧迫を与えてしまうのではないだろうかとさえ思いました。ところが、このパビリオンではそのような押し付けがましさがなく、肩の力の抜けたいい緊張感と空間の調和を憶えました。内部とも外部ともつかない空間は、シュレーダー邸と異なり面や線を構成する素材や肌理が、筵のようであったり穴が空いていたり、物体が与える印象を漂白せずに用いられています。そしてそのことが彫刻作品ともマッチして心地よい空間をつくっています。

 クレラー・ミュラー美術館へはアムステルダムから電車とバスを乗り継がなければいけないので簡単には行けませんが、これは一見の価値有りです!ゴッホのコレクションでも有名ですので、オランダに行く機会がありましたら、是非訪れてみてください。


クレラー・ミュラー美術館

https://krollermuller.nl/jp/visit


シュレーダー邸

https://centraalmuseum.nl/en/visit/locations/rietveld-schroder-house/


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