ハリとツヤ

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 建設中の住宅に階段がつきました。鉄の平板とパイプでできていて、この後、木製の踏板を取り付けます。鉄製なのは空中に浮いている2段目までで、1段目には収納を兼ねた箱を置く予定です。鉄で作ることでササラと呼ばれる踏板を支える斜めの板を細くすることができるため、シャープなデザインにすることができます。

 また、鉄部の最下段を空中に浮かせていますが、これも考えがあってのこと。誰もが鉄が重いことは知っています。もし鉄部最下段の端に脚をつけたとしたら、鉄階段の重量をしっかり床に伝えてるように見えるでしょう。しかし、この住宅は重厚な邸宅というよりも、明るく爽やかな住まいにしたい。そこで重い鉄なのだけれどその重さを感じ取らせないように配慮しました。同時に空中に浮いているということは、どこからか支えられている訳なのですが、その跳ね出し状態を維持する力を感じ取ることができれば、この階段のある空間にはある種の緊張感が生まれるのではないか、と期待しています。言い換えると重力と階段を支える力が均衡する緊張状態が空間に「ハリ」を生み、そこから「ツヤ」つまり瑞々しい魅力が生まることを期待したのでした。

© Ikeda Hisashi Architects  2015-2018