つくりたいモノをつくる

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 仕事帰りに「総合デザインとプロデュース」というセミナーに参加しました。Bunbo株式会社の江副直樹さんが全5回に渡って様々な切り口から、ご自身が手掛けられた事業プロデュースについてレクチャーをするというもの。第3回目の今日は商品開発についてのお話でした。乱暴にまとめると「つくりたいモノをつくりましょう」なのですが、これは市場調査などものづくりの根拠を外部に求めるのではなく、内省的に考え生み出し、良いものへの共感を外部に広げることで結果的に売れる商品や愛される商品ができるということです。

 建築についても同じことが言えそうです。クライアントと設計者が同じ方向を見てプロジェクトを歩めるか、どちらかが我慢や不満を抱いていないか、とても重要な点です。住宅の場合は発注者とユーザーが同じですので、一般的な商品開発よりもさらに、依頼者と設計者の関係性が成果品=住宅のクオリティに直結します。建築のデザインに際してクライアントから様々な事例を大量に見せていただくこともありますが、そういったデザインの根拠を外部に求めるのではなく、漠然としたイメージやどんな暮らしをしたいかを聞かせていただく方が建築家の内側からアイデアが浮かび、結果的にはクライアントと空間のイメージを共有することができるように感じます。「つくりたいモノをつくります」と言われるとギョッとしてしまうかも知れませんが、つくりたいモノ=建築家のエゴではありません。どんな建築であればクライアントや周辺住民、回り回って社会はハッピーになるだろうか、そんなことを考えるのが本物の建築家であると私は信じています。

© Ikeda Hisashi Architects  2015-2020