外出自粛に向いた?家づくり

 昨今の外出自粛によって仕事も学校もオンライン化が急速に進んでいます。多くの人にとって、家族がこれほど長い時間家の中で一緒に過ごすことはこれまでなかった経験ではないでしょうか。

 弊事務所で設計しました「香里園のH邸」には二つのリビングがあります。なぜ二つも?それは居場所や家族同士の距離感に自由度を持たせたいという考えからです。これまでリビングはひとつだけというのが常識でした。この場合、居場所の選択肢は各自の寝室かリビングということになります。引きこもるか、みんなと一緒にいるかの二択です。思春期の子どもや現在のように長時間にわたって家族と過ごさなければならない状況では、この選択肢の少なさは苦痛になりかねません。「香里園のH邸」の二つのリビングは視線は通らないものの、物音や雰囲気は伝わるよう空間は区切られつつも繋がっています。居場所の選択肢が増えることで少し距離を置きたいときでも、個室に引きこもることなくそれぞれの居心地の良い居場所を見つけることができるのです。

 設計時にはまさか今のような状況を想定してはいませんでしたが、平時で心地よい距離感を探ることが結果的に非常時の心地よさも担保できていた訳です。これから家づくりをされるときには、家族同士の距離感の自由度について少し配慮してみると良いのではないでしょうか。

© Ikeda Hisashi Architects  2015-2020