リスペクト

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 京都府立大学暦彩館は多数の屋根がパラパラと重なるような姿が印象的な建築です。先日、暦彩館の前を通りかかると目の前に小さな交番を建てる工事が進んでいました。この通りの風景をつくっている大きな建築に対して、リスペクト?をしたのか同じような屋根の表現をしています。建築をつくる際に周囲と調和させるのか否か、建築家のスタンスが現れます。高度成長期〜バブル期には都市に対して屹立する、あるいは派手で目立つ建築が評価されていたように思いますが、現在は建築家の姿勢もソフトになり既存のものを尊重するスタンスの方が増えてきたように感じます。
 学生の卒業設計でも既存の街並みや文化に対して、建築がそれらをそっと支えるような提案が多いと聞きます。しかし、ただ寄り添っていたのでは、頼りないといいますか、100年後、200年後から振り返った過去としての現在は空白になってしまうような危惧もあります。そうであっては今を生きる人間としてはつまらない。周囲はリスペクトしつつも、主張を持った今という時代の鏡となるような建築をつくりたいものです。

© Ikeda Hisashi Architects  2015-2022