2025 3月
大阪府茨木市を拠点に関西全域および全国各地で活動する一級建築士事務所です。
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トークイベント@下鴨ロンド

昨晩、下鴨ロンドを運営されている本間さんにお招きいただき、kiiriの家入さんと共にゲストスピーカーとしてトークイベントに参加しました。本間さん、家入さんとは池田が業務担当非常勤講師をしている京都芸術大学でご一緒させていただいています。まずは本間さんの案内で下鴨ロンドの歴史や空間を堪能しました。アール・デコ調の和洋折衷の設はこの時代ならではの過渡期独特の味わいがあります。8年後には竣工100年を迎えるこの洋館を少しずつ改修しながら守る取り組みには、その仕組みづくりの点からも学びがありました。トークイベントには20名もの方にお越しいただき、恐縮至極。家入さんお手製のカレーやチーズケーキに舌鼓を打ちながら楽しい時を過ごしました。 肝心のトークですが、池田は京都芸術大学で行ったレクチャーをベースに、リノベーションが注目される社会的な背景をお話しました。個人的には、新建築のデータベースをもとに「リノベーション」という言葉が普及していく過程を追いかけた調査に面白みを感じています。「リノベーション」というワードが初めて新建築に登場するのは1985年のこと。その後、ポツポツと年に1回使われるかどうか、といった状況が、2004年から急激に使用頻度が高まり、今では誰もが当たり前に口にすることとなります。2004年ごろ、何があったのか。私なりの仮説を立ててお話した次第です。気になる方はお会いした際に聞いてくださいね。 本間さん、家入さん、会場にお越しくださった皆さま、素敵なひと時をありがとうございました!

短歌のような建築

気の利いたコメントをするのは難しい。ありきたりも、奇を衒うのも、なんだか恥ずかしい。講演後の「会場から質問ありますか」にお客さんが目を逸らすのも同じ心理なのだろう。 建築家であり、教育者でもある方にレクチャーをしてもらうイベントを建築家仲間と一緒に運営している。運営メンバーは講演後に毎回質問やコメントをするのだが、ある建築家の回で私は「短歌のような建築」とコメントをした。これは奇を衒う度が高めな気がして、少し恥ずかしかったのだが、「だってそう思ったんだもん。仕方ないじゃん」の精神を発動。 短歌のような建築とは、どういう事かというと、空間構成(部屋の大きさや並べ方など)が抑制的(はちゃめちゃで自由奔放ではなく、少ない手数で洗練されている)で、そこに周辺環境や建築史を引用、参照した仕上げが慎重に選ばれているデザインに、まるで短歌のような印象を受けたのだ。短歌に置き換えるなら、空間構成は5・7・5・7・7のリズム、仕上げは枕詞や先人の短歌をなぞった言葉選びになる。リノベーションは差し詰め連歌といったところか。 よく練られた言葉(文章)は建築によく似ていると最近よく思う。美術館のように経路を辿って空間や景色が移り変わる様に感動する建築は長編小説のようだし、多様な子どもたちがそれぞれに心地よい時間をそれぞれの場所で過ごす放課後の学校のような場所はまるで詩集のようだ。 よし、図書館に行こう。 写真:髙橋菜生