2025 9月
大阪府茨木市を拠点に関西全域および全国各地で活動する一級建築士事務所です。
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建築の真価はどこにあるのか

先日、JIA主催のトークイベントに参加しました。登壇したのは、大阪・関西万博の施設を設計した若手建築家たちです。開始から第2部の最初の質問、その後の議論まで拝聴しましたが、家の用事があり途中で失礼しました。それでも多くの示唆を得る時間になりました。 会場から出た印象的な問いかけのひとつに、「建築家の理論が伝わっていないのでは」というものがありました。私には、それは結局「建築の真価はどこにあるのか」という根源的な問いかけのように思えました。 登壇者からは「万博協会から発信を止められていた」とか「感じ取ってもらえればよい」といった意見が出ていましたが、私はやはり、建築の理念は空間そのもので達成されるべきではないか、と考えさせられました。プレゼンテーションを見る限りでは、建築家が「良きことげなストーリー」で共感を得なければならないと告白しているようにも感じられ、言葉にしないと建築の真価が伝わらないという現象は、現代的でとても興味深いと思いました。 さらに考えさせられたのは、ストーリーの位置づけです。提案時と実際に建った建築が全く異なり、残っているのはストーリーのみという方もいらっしゃいました。大企業が社会貢献を「守り」のストーリーとして掲げるのに対し、建築界では「攻め」の手段としてストーリーを紡いでいます。その背景には「創作にはアリバイが必要」という時代の空気があるのかもしれません。会場からの問いかけが、こうしたテーマを引き出すきっかけになっていました。 今回の議論を通じて、建築とストーリーの関係についてあらためて深く考える機会をいただきました。建築にとっての「真価」はどこにあるのか——これはこれからも探っていきたいテーマです。