2024年2月19日
解体工事|嘉兵衛荘
構造検討のため、木造部分内装の先行解体が始まりました。
天井をめくるとそこには立派な洋小屋が現れました。屋根を支える小屋と呼ばれる部分には、「和小屋」と「洋小屋」の構法があります。和小屋は文字通り日本古来の構法で、町家や古民家に限らず、木造の建物では現代でもよく採用されています。特徴は水平・垂直に梁と束を組み屋根を支える点で、斜めに材を組むことはありません。一方の洋小屋は斜めに材を組むことで三角形をつくる、大きな空間に屋根をかけることに適した構法です。嘉兵衛荘では大広間とロビーの大空間に屋根を架けるために洋小屋を採用したのでしょう。
古民家をリノベーションしたカフェや民泊をよく見かけるようになりました。中には有名建築家が手掛けたものもあり、天井を取り外し屋根や小屋をあらわしにしたデザインも多いように思います。そこで見られる構造は大抵は和小屋です。嘉兵衛荘では洋小屋が並ぶ、シンプルで美しい構造形式を活かしたデザインにしたいと思います。
白っぽい色の古材が梁の上に並んでいました。「???」と思いつつよくよく観察してみると、天井を吊り下げるための下地がくっついています。どこかの解体現場で出た廃材を天井下地を受けるための材として再利用した様です。
御幣も何十年ぶりかに陽の光を浴びました。上棟の日付けが書いてあれば、この建築の年齢がわかるのですが、、どうでしょうか。
野地板(屋根の下地)もところどころ傷んでいますので、補修が必要ですね。