兵庫県尼崎市に建つ、クライアントと4匹の猫のための住宅です。
敷地は間口3.7m、奥行16mの細長いL字形で、周囲をコンクリートブロック塀に囲まれていました。一見すると閉じた環境ですが、周辺の建物は高さ制限によって屋根が低く抑えられており、隣家や塀越しに光や風、空への視線が抜ける環境を持っていました。
建築は、そうした敷地の特徴をそのまま受け止めるように計画しています。L字形の敷地に沿って片流れ屋根を架け、窓の位置や大きさを丁寧に調整することで、空の広がりや塀との隙間空間を室内へ取り込みました。周囲と切り離された住宅ではなく、外の環境とゆるやかにつながる住まいを目指しています。
内部では、柱や梁を910mmピッチで現しとし、構造のリズムがそのまま空間の骨格となっています。細長い住宅特有の圧迫感をやわらげると同時に、空間に奥行きと透明感を与えています。また、L字の曲がり角には吹抜けと階段を配置し、この余白の空間を光や風を家全体に行き渡らせる中心的な場所としました。
空間ごとに素材や色彩に微妙な違いを与えながら、柱梁の反復や、異なる素材に共通する形状の繰り返しが韻を踏むように響き合い、住宅全体にひとつのまとまりを与えています。
制約の多い敷地条件を受け入れながら、光や風、素材のリズムを丁寧に重ね合わせることで、コンパクトでありながら伸びやかな住空間を実現しました。
施工:池正
撮影:髙橋菜生
2026年6月1日
戸建住宅, 新築