石橋のY邸では無駄のない平面計画と多様な断面操作によって住宅密集地でも、豊かな住環境をつくることを試みました。住宅としての使いやすい間取りをデザインし、各室の天井形態や仕上げ、建具の構成、開口部の取り方、額縁の有無、大壁と真壁の使い分けなど、それぞれの空間が異なる「つくり」を持つよう繊細な操作を施しています。
例えば、土間と引戸で仕切られた寝室は日本的なつくり、主寝室は小さな入口と宝形型の天井をもつ袋のようなつくり、高い天井をもちハイサイドライトから空が見えるLDKはそのおおらかさから住宅内の広場のようなつくりとしています。「つくり」の異なる空間を行き来することは体験的な奥行きにつながります。
住宅でも高い天井や土間などいろいろな空間を組み合わせることによって、実際の面積以上に広く感じることのできる住宅となりました。ちょっとした段差や屋根裏に収納を設けることで、空間を無駄なく使える工夫も随所に施してあります。
施工:マースワーク
撮影:髙橋 菜生
2019年10月23日
戸建住宅, 新築