待たされる場所から、心落ち着く「木の庭」へ
大阪府内産木材を利用した公共施設木質化のモデル事業。対象施設である大阪府パスポートセンターは利用者にとって長時間待たされる場所であり、苛立ちを感じる人も少なくありません。私たちは木質化と同時にこの課題を解決すべく、木の手触りや香りを活かし、心地の良い待ち時間を過ごせる「木の庭」としての施設を設計しました。大阪府内産材を用いて木の温もりを最大限に感じられるよう、蓮の葉や縁側のようなやわらかな曲線を用いたベンチをデザインし、既存の記入台やカウンターの形状を活かして木質化することで木に囲まれた空間にリニューアルしました。
また、建築家・黒川紀章による特徴的な空間を尊重し、記入台の12角形や円柱、天井照明や地下と地上をつなぐ採光の曲線を活かし、それらに馴染むように新設のベンチや什器もやわらかな曲線を用いた設計とし、既存空間との調和を図りつつ、歴史を継承することを意図しました。
ベンチの座面には圧密加工(圧縮率 50%)によりスギに広葉樹並みの強度を持たせることで什器での利用を可能にしています。さらに、部材寸法や形状を規格化することで、長く渡り安心安全に使えるように配慮しています。
WAKKA共同企業体 / 丸紅木材株式会社
株式会社千早銘木
takayuki.bamba+associates
池田久司建築設計事務所
協働設計者:バンバタカユキ
撮影:髙橋菜生