池田久司
大阪府茨木市を拠点に関西全域および全国各地で活動する一級建築士事務所です。
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予算は「決める」ものではなく「使い方を選ぶ」もの

家づくりの相談で、よく聞くのが「予算は○○万円くらいで考えています」という言葉です。 家づくりを考え始めると、「結局、全部でいくらかかるのか」「そのうち、建物にはどれくらい使えるのか」が気になるのは、とても自然なことだと思います。 ただ実際には、予算は金額そのものよりも、どう使うかの方が重要です。 予算は「上限」を決めることではない 予算というと、「ここを超えないようにするライン」として考えられがちです。 けれど本来の予算は、どこにお金をかけ、どこを抑えるかを選ぶための道具です。 前回のBASICS #3では、トップ3・下位3・NGというかたちで要望を整理しました。この整理ができていると、予算の話は「削る」から「振り分ける」に変わります。 まずは「家づくりの総額」を知る 予算を考えるうえで、最初につまずきやすいのが建物価格だけを見てしまうことです。 家づくりには、建物本体以外にもさまざまな費用がかかります。 家づくり総額と内訳の目安(土地代を除く) 家づくりにかかる費用を100%とした場合、おおよそ次のような配分になることが多くなります(※地域や敷地条件によって前後します)。 建物本体工事費:60〜65%設計料:8〜12%外構工事:7〜12%地盤改良・基礎調整:0〜10%諸経費(申請・検査・登記・各種負担金など):5〜8% 特に諸経費は、インフラ条件や法規、敷地条件によって想定より増えることが少なくない項目です。 総額別|建物本体にかけられる金額の目安 上記を前提にすると、建物本体に使える金額は、総額の約6割前後と考えるのが現実的です。 総額 3,000万円 → 建物本体 約1,800〜1,950万円総額 3,500万円 → 建物本体 約2,100〜2,275万円総額 4,000万円 → 建物本体 約2,400〜2,600万円総額 4,500万円 → 建物本体 約2,700〜2,925万円 「思っていたより建物に使えない」と感じる方も多いですが、ここを甘く見てしまう方が、後で苦しくなります。 坪単価について(建築家住宅の場合) 予算の話になると、「坪単価はいくらくらいですか?」という質問もよくいただきます。 結論から言うと、建築家に依頼する住宅の場合、坪単価は少なくとも130万円前後から見ておくのが現実的です(※ここでは建物本体工事費を想定しています)。 現在の感覚としては、次のようなレンジになります。 130〜150万円/坪 → 建築家住宅としての標準的なゾーン。  構造・断熱・納まりをきちんと押さえ、  空間の質を成立させるライン。 150〜180万円/坪 → 素材選定や空間構成に明確な意図がある場合。  敷地条件が厳しいケースも含まれます。 180万円/坪〜 → 構造・素材・環境性能に強いこだわりがある場合や、  難易度の高い敷地条件を前提とする住宅。 同じ坪単価でも、何にお金を使っているかは設計によって大きく異なります。 工事費は、上がり続けています ここ数年、住宅の工事費は下がることなく、緩やかに上がり続けているのが実情です。 ・資材価格の上昇・人手不足による労務費の上昇・施工体制の変化・性能・基準の引き上げ これらが重なり、以前と同じ家を、同じ金額でつくることは難しくなっています。体感としては、急に跳ね上がったというより、毎年少しずつ確実に上がっているという印象に近いかもしれません。 だからこそ「何を大切にするか」が重要になる 工事費が上がっていると聞くと、「早く建てないと損なのでは」と感じる方もいます。ただ、焦って判断してしまうと、本来大切にしたかったことが抜け落ちてしまうこともあります。 重要なのは、今の相場感をきちんと知ることその中で、何を優先するかを整理すること工事費が上がり続けている今だからこそ、要望と予算の整理が、以前よりも重要になっています。 トップ3は「お金を使う理由」になる BASICS #3で整理したトップ3は、そのまま予算配分の優先順位になります。 ・家族が自然に集まる場所を大切にしたい・外とゆるやかにつながる居場所がほしい・一人で落ち着ける時間を確保したい こうした要望が明確であれば、面積、天井の高さ、光の取り入れ方など、どこにお金を使うかの判断がしやすくなります。 下位3は「調整のための余白」になる 一方で、下位3は予算調整の場面でとても重要な役割を果たします。 条件によって優先度を下げられる要望が整理されていると、予算調整が「我慢大会」になりません。 どこから調整すればいいかが分かることが、大きな安心につながります。 予算の話こそ、建築家と一緒に 予算は、一人で決めきるものでも、誰かに丸投げするものでもありません。 要望を整理したうえで、建築家と一緒に「使い方」を考えていくことで、数字は具体的な空間の話へと変わっていきます。 初回相談について 初回のご相談では、想定している家づくりの総額建物本体にかけられる金額の目安要望とのバランスを、現在の相場感を踏まえて一緒に整理します。 予算感がまだ固まっていなくても、土地が決まっていなくても構いません。 まとめ 予算は、夢を削るための数字ではありません。 ・何を大切にするかを形にするためのもの・使い方を選ぶための道具 工事費が上がり続けている今だからこそ、数字から逃げず、同時に数字に振り回されないことが大切です。 次回は、この予算感を踏まえて 家づくりBASICS #5「土地の選び方」 へ進みます。 家づくりBASICS シリーズ これまでの「家づくりBASICS」は、こちらからご覧いただけます。 家づくりBASICS #1|家づくりの進め方(全体像) ▶︎[https://ikd-a.com/2025/10/17/iedukuri_1/] 家づくりBASICS #2|家づくりのパートナーの選び方 ▶︎[https://ikd-a.com/2025/12/19/iedukuri_2/] 家づくりBASICS #3|土地探しの前に要望整理 ▶︎[http://ikd-a.com/2026/02/06/iedukuri_4/] 順番に読んでいただくと、家づくりを考えるときの整理の仕方が、より立体的に見えてくると思います。

【月イチ エッセイ】意味の意味

先日、Xでこのようなポストを見かけた。 フランス人のエンジニア(日英も喋れる)と打ち合わせ中、話が脱線して彼が日本の好きなエンタメについて語り始めたんだけど、「PPAPは日本人たちが思っているよりもずっとおもしろい。過小評価されている。英語圏の人が初めてあれを観たとき、誰しも息ができなくなるんだ」と熱弁された— demio (@ganko_na_yogore) December 16, 2025 ピコ太郎(古坂大魔王)がPPAPで世界的にバズってから、もう10年が経とうとしている。しかし、いまだにSNSで話題に上がるほどその歌詞とメロディーは印象的だった。誰もが口ずさみたくなる「ペンパイナッポーアッポーペン」という歌詞。もしこれが単に心地よいパ行を中心とした音の並びに魅力があるのだとしたら、「パンペロピッピーポンプカタン」でもその面白さは損なわれないのかも知れない。しかし、皆さんも感じるように「パンペロ…」は笑えない。そこには意味がないからだ。「ペンパイナッポー…」は全くナンセンスだが、口ずさみたくなる音の連続に「筆記用具・南国の黄色い果物・赤い果物・筆記用具」という意味があり、そこが何故だか(特に英語圏の人々に)面白く、惹きつけられてしまうのだ。ヘンテコな音の並びに、意味のない意味がある。意味の作用によって私たちは何億回もこの動画を再生したのだ。大阪弁の面白さを伝える「チャウチャウ」の言葉遊びもこれと同じ現象だろう。 さて、建築である。一昨年から建築の勉強会をするようになり、設計することとは一体何だろうと考えることが多くなった。 建築の意味って? 近代以前であれば、その様式や装飾にはそれぞれ固有の意味が象徴的に込められてきた。部分に注目すればオーダーやステンドグラスなど、ビルディングタイプではその用途に応じた様式が選ばれてきた。意味が通用するのは、その意味するところが共有されているからである。様式や装飾の持つ意味を知識として知っていることが建築家の職能の一つであったし、建築主もその意味を理解できる教養を持っていることが前提となる。近代以降、社会や経済の構造が大きく変化する中で建築もまた変遷した。その流れの中で様式や装飾が徐々に排除されていった訳だが、そこには建築の大衆化が一つのきっかけになったのではないかと思う。教養豊かな上流階級から、切実に機能を求める大衆へと建築の対象が変わる中で様式や装飾の持つ意味が共有されなくなり、やがて建築教育からも外されていく。建築から意味が消えたのではないか。その後、ポストモダンが象徴や記号を通して意味を回復しようとしたが、もはや共有されない意味を背負った様式はただの無用の長物となり、早々に廃れてしまった。 では、現代建築に意味は必要ないのだろうか。そうではない。ただし、意味を象徴として与えようとした瞬間、建築は弱くなると感じている。設計の中で実際に行っているのは、意味を込めることではない。寸法と物質の操作だ。壁と壁の距離、天井の高さ、光の入り方、物と物の位置関係。図面を描いているとき、これは何を象徴しているのか、など考えていない。むしろ、椅子の位置が10センチ動くだけで、人の振る舞いが変わってしまうことの方が気になっている。それらを調整し、空間の関係を確定していくことで、人のふるまいは、ある方向に傾き、また別の方向に開かれる。そのとき立ち上がるのは、「これは何を象徴しているか」という理解ではなく、この場所では、なんとなくこう振る舞ってしまう、という身体的な反応である。意味は、あらかじめ用意された答えではなく、物と物の位置関係から読み取られてしまうものだ。現代建築に必要な意味とは、象徴として与えられるものではなく、物と物の位置関係から読み取られる、ふるまいの可能性なのではないだろうか。建築家の仕事は、意味を語ることではなく、意味が立ち上がる手前の状態を、空間として成立させることだと思っている。それは分かりやすさからは少し遠い。しかし、意味を「説明できるもの」にしすぎた建築ほど、驚くほど早く読まれ尽くしてしまう。長く使われ、何度も読み替えられる建築は、意味が立ち上がる手前の緊張を、空間として保ち続けているのではないだろうか。

土地探しの前に「要望整理」

「家を建てよう」と思ったとき、多くの人がまず土地を探し始めます。 けれど実は、土地探しより先にやっておいた方がいいことがあります。それが、自分たちの暮らしの要望を整理することです。 家づくりは、 土地 → 間取り → 暮らし ではなく、 暮らし → 要望 → 土地 の順番で考えた方が、後悔が少なくなります。 要望とは「部屋のリスト」ではない 家づくりの相談を受けていると、「LDKは何畳で、子ども部屋はいくつで…」という話から始まることがよくあります。 もちろん、それも大切な情報です。ただ、それらは要望の「結果」であって、出発点ではありません。 本当に大切なのは、その部屋でどんな時間を過ごしたいのか、家族がどんな距離感で暮らしたいのかということです。 「したい行為」に言い換えてみる たとえば、 大きなLDKがほしい 子ども部屋を2室つくりたい という要望があったとします。 これを一度、こんなふうに言い換えてみます。 家族が自然に集まれる場所がある 子どもが成長しながら、少しずつ自立していける 私たち建築家が扱うのは、部屋そのものよりも、そこで起こる暮らしの振る舞いです。 一日の過ごし方と、これからの変化を書いてみる 次におすすめしたいのは、今の暮らしをそのまま書き出してみることです。平日の朝から夜まで、休日はどう過ごしているか。さらに、少し先のことも想像してみます。 子どもが成長したあとの暮らし 働き方が変わった場合 家族構成が変わった場合 正確でなくて構いません。暮らしは変わる前提で書くことが大切です。 ここで初めて「選ぶ」 ここまで書き出した要望を、そのまま全部叶えようとすると、設計も土地探しも、どうしてもブレてしまいます。また、条件に合う土地が見つからず、思わぬ苦労をしてしまうこともあります。 そこで一度、要望を選び直します。 まずは、トップ3。家族構成が変わっても守りたいこと、迷ったときに立ち返る判断軸になるものです。 一方で、下位3も選びます。こちらは、条件によって優先度を下げられるもの。今は無理に決めなくてもいい要望です。子ども室の広さや数、将来の細かな間仕切りなどは、ここに入れても十分成立します。 それぞれについて、「なぜそれが大事か」「なぜ優先度を下げられるか」を一言添えると、整理が進みます。 NGデザインも書き出しておく 理想を書くよりも、「これは避けたい」「これがあるとストレスになる」という感覚は、設計にとって重要な条件です。 視線が常に気になる 音が逃げ場なく伝わる 将来の変化に対応できない構成 数や分類は気にせず、思いつくまま書いてみてください。 この要望リストを、建築家に見せる トップ3、下位3、NG。ここまで整理できたら、その要望リストをそのまま建築家に見せてください。 そして、「この暮らしを前提に、どんな土地が合いそうか」を一緒に考えていきます。土地の良し悪しを一人で判断するのではなく、設計の前提条件として土地を見る。これが、遠回りに見えて、いちばん失敗の少ない進め方です。 建築家の立場からひとこと 建築家にとって、この要望リストは「答え」ではありません。図面を縛るための条件でもなく、正解・不正解を決めるためのものでもありません。一緒に考え始めるための材料です。要望が整理されていればいるほど、土地の読み方も、設計の方向性も、より立体的に検討することができます。 初回相談について このような要望リストが事前にまとまっていなくても、初回のご相談では、同じ内容をこちらから順を追ってお聞きしています。 どんな一日を過ごしているか 家族の距離感や、変化への考え方 大事にしたいこと、避けたいこと 言葉になっていなくても構いません。会話をしながら、一緒に整理していきます。要望リストは、必須の宿題ではなく、考えるきっかけです。 まとめ 家づくりは、今ある土地に暮らしを当てはめることではありません。まず暮らしを整理し、その要望を建築家と共有し、一緒に土地を探していく。要望は、設計を縛るためのものではなく、設計を始めるためのスタートラインです。ぜひ、土地探しの段階から一緒に家づくりをスタートしましょう。 家づくりBASICS シリーズ これまでの「家づくりBASICS」は、こちらからご覧いただけます。 家づくりBASICS #1|家づくりの進め方(全体像) ▶︎[https://ikd-a.com/2025/10/17/iedukuri_1/] 家づくりBASICS #2|家づくりのパートナーの選び方 ▶︎[https://ikd-a.com/2025/12/19/iedukuri_2/] 順番に読んでいただくと、家づくりを考えるときの整理の仕方が、より立体的に見えてくると思います。 内容に関するご質問や個別のご相談は、お問い合わせフォームからお願いします。

新年のご挨拶 / 2026

明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になり、ありがとうございました。 新しい年もこれまでのご縁を大切にしながら、新しいことに挑戦する一年にしたいと思います。淡々と、粛々と。 本年もよろしくお願いいたします。

【月イチ エッセイ】アトラトル

アトラトル(Atlatl)は、先史時代に使われていた槍投げ用の道具だ。槍の後端を引っかけて振り出すことで、腕の長さを延長したような効果を生み、少ない力でも槍を速く、遠くへ投げることができる。人の身体能力を拡張し、投擲の精度と到達距離を大きく高めた、シンプルながら本質的な道具である。 建築家仲間4名で主催している建築レクチャーイベントの、今年度の最終回を開催した。幹事が持ち回りでゲストをお呼びし、1作品を1時間かけてじっくり話してもらうというもので、大トリにはランチ!アーキテクツの和田寛司さんをお迎えした。 和田さんは設計だけでなく施工も行う建築家で、3年かけて完成したご自邸「KPD」には、内覧会にもお邪魔させていただいたことがある。設計施工というと大手ゼネコンをイメージしたり、大工の棟梁が家を建てていた時代のことを思い浮かべたりするが、和田さんの取り組みは全く別の枠組みのように思えた。 彼は職人と素人の間にいる、セミプロ(職人でもあり、別分野のプロでもある)たちとの協働の中で建築を立ち上げている。KPDでは、ご自身以外の施工者には図面を見せずに、対話から空間を創造したという。いわゆる建築教育を受けていないセミプロたちが肌で感じた空間性が和田さんに宿り、設計と工事が同時に進んでいくのだ。 このレクチャーを聞いていて、アトラトルを思い出した。自分の身体だけでは届かない距離に槍を投げるための道具だが、どこか身体の延長のようにも思える。和田さんの取り組みは、セミプロ達が参加することで、建築家の手足が長く伸び、見えないものが見えるように、届かないところまで手が届くようになっているのではないか。単なるコラボレーションとは異なる怪しさと魅力を感じる建築は、そうして生まれたのかと、内覧会での体験とつながった。 和田さんは怪談蒐集家という一面も持っている。KPDもKAPPA DIMENTIONの略だそうで、なるほど、確かにあの空間は河童たちにしか作れないだろう。

家づくりのパートナーの選び方

家づくりの方法には、いくつかの選択肢があります。ハウスメーカー、工務店、設計事務所。どれを選んだから正解、というものではありません。 前回の記事では、家づくりの流れと予算について、設計事務所との家づくりを前提に全体像を整理しました。その中で、「ハウスメーカーや地元の工務店さんとの家づくりとどう違うのだろう」と疑問を持たれた方もいるかもしれません。 最初にお伝えしておくと、建築家に頼まなくても、家は建ちます。ハウスメーカーや工務店にも、それぞれに明確な役割と強みがあり、多くの人にとって、合理的な選択肢になり得ます。それは人の性格やタイプによるというよりも、家づくりに対する考え方や、敷地の条件によって、向き・不向きが分かれる選択肢だと感じています。 今回は、建築家と家づくりをするという選択が、どのような考え方や敷地条件のときに意味を持ちやすいのかについて、設計者の立場から整理してみたいと思います。 建築家との家づくりが向いているケース 建築家に頼むと意味を持ちやすいのは、例えばこんなケースです。 敷地に制約が多いとき 変形地や高低差のある敷地、法規制が厳しい場所など、条件が一筋縄ではいかない場合、建築家は敷地条件そのものを読み解きながら、成立の仕方を探っていきます。敷地を「不利な前提」ではなく「設計条件」として扱える点は、大きな特徴です。また、厳しい条件の土地は比較的安価に購入することができますので、浮いた予算を建物本体や設備に回すことも可能になります。 暮らし方から住まいを考えたいとき 間取りや外観のイメージが先にあるというより、どんな暮らしをしたいか、何を大切にしたいかから住まいを考えたい方は、建築家との家づくりをおすすめします。形を決める前に、考え方を整理する時間をしっかり取れるからです。料理で例えると、器(=家)に合わせて料理(=暮らし)をつくるのか、料理に合った器を考えるのか、ということです。 要望や条件が、まだ整理しきれていないとき 家族の意見がそろっていなかったり、自分でも何を優先すべきか分からなかったりする段階でも、建築家との家づくりはスタートできます。決まっていないことを、順に言葉にしていくことも設計の一部だからです。 予算の内訳や判断のプロセスを明確にしたいとき 「何に、どれくらいお金がかかっているのか」を理解しながら進めたい場合、設計と見積を行き来しながら調整できる点は、大きなメリットです。限られた予算の中で、どこに重きを置くかを一緒に考えていくことができます。設計事務所との家づくりでは、同じ図面をもとに相見積もりを取ることも可能ですし、提出された見積書を建築士が1項目ずつその妥当性を査定します。 周辺環境との関係を丁寧に扱いたいとき 隣家との距離感や視線、光や風の入り方など、敷地の外にある条件も含めて住まいを考えたい場合、建築家はそれらを設計条件として組み込んでいきます。これはネガティブな条件の場合だけでなく、豊かな外部環境を享受できる空間づくりのためにも必要な視点です。家単体ではなく、環境の中にどう建つかを考える点が特徴です。 では、ハウスメーカーや工務店が向いているのは、どういったケースでしょうか。 ハウスメーカーとの家づくりが向いているケース ハウスメーカーの強みは、家づくりのプロセスがあらかじめ整理されている点にあります。大手企業としての安心感があり、モデルルームを通して完成後のイメージを具体的につかめることも大きな特徴です。また、設計と施工が一体となっているため、初期段階から概算の予算が見えやすく、資金計画やスケジュールを立てやすいという利点があります。住まいのイメージがある程度固まっていて、分かりやすさやスピード感を重視したい場合には、合理的な選択肢になり得ます。一方で、敷地条件が複雑な場合や、住まいに求める条件がまだ整理しきれていない場合には、用意された仕組みの中では提案の幅が狭いため、対応が難しくなることもあります。これは、効率的に家づくりを進めるために前提をあらかじめ整えているからこその特徴でもあります。 工務店との家づくりが向いているケース 工務店の魅力は、地域の事情に詳しく、顔の見える関係で家づくりを進められる点にあります。すでに設計の方向性が定まっている場合や、細かな要望を汲み取りながら進めたい場合には、工務店との家づくりは相性が良いと言えます。一方で、要望や条件が多い場合や、全体を俯瞰しながら優先順位を整理していきたい場合には、設計や判断を誰が担うのかをあらかじめ意識しておく必要があります。その役割を別に用意することで、工務店の強みがより活かされるケースもあります。 相見積もりについて、少し補足を ハウスメーカーや工務店で家づくりを検討する場合、複数社から相見積もりを取ることを考える方も多いと思います。ただし、実際には各社がそれぞれの設計や仕様を前提として提案を行うため、共通の図面や条件を用いた比較ができないことがほとんどです。金額の差が、そのまま性能や内容の差を表しているとは限らず、何が違っているのかを読み取るのは、意外と難しい作業になります。これは、設計と施工を一体で行う方式だからこそ生まれる特徴でもあります。相見積もり自体が悪いわけではありませんが、数字だけで単純に比較することには、限界があるという点は、知っておいてもよいかもしれません。 こうした違いを踏まえた上で ハウスメーカーや工務店との家づくりは、あらかじめ用意された前提の中で、住まいを形にしていく方法だと言えます。一方で、敷地条件や要望がまだ整理しきれていない場合や、何を優先すべきかから考えたい場合には、少し異なる役割を持つ家づくりの方法が意味を持つこともあります。次は、建築家との家づくりが、どのような条件で機能しやすいのかについて整理してみたいと思います。 建築家との家づくりについて、あらためて ここまで、ハウスメーカー、工務店、それぞれの家づくりの特徴を整理してきました。どの方法にも役割があり、状況や条件によって、向いている選択肢は変わります。建築家との家づくりは、それらと比べて「特別な方法」というよりも、条件を整理するところから始まる家づくりだと言えるかもしれません。敷地条件や要望、予算といった複数の要素を並べ、何を優先すべきかを一緒に考えていくことが、その役割になります。その意味で、建築家に頼むかどうかは、最初から決めておく必要のある答えではありません。話をしてみて、考え方や進め方が合わないと感じれば、別の方法を選ぶことも、もちろん自然な判断です。なお、建築家との家づくりは、要望をそのまま形にしていくというよりも、それらを設計の考え方の中で整理し、一貫した形にまとめていくプロセスになります。そのため、あらかじめ決まったテイストや完成像をそのまま当てはめたい場合には、合わないと感じることもあるかもしれません。大切なのは、「どの方法が正しいか」ではなく、自分たちの考え方や敷地条件に対して、どの方法がいちばん無理なく機能するかを見極めることだと思います。 この記事が、その判断を考えるための一つの材料になれば幸いです。 内容に関するご質問や個別のご相談は、お問い合わせフォームからお願いします。

【月イチ エッセイ】YOUNG ARCHITECTS CONFERENCE

先週末、YOUNG ARCHITECTS CONFERENCE 2025-2026 に参加した。YAC は日本と海外の若手建築家の交流を目的とした展覧会で、2019 年に始まり、今回で 3 回目を迎える試みだ。初回の 2019 年は、私とバンバタカユキを中心に、学生時代の後輩たちと共に立ち上げた。大量のデータを取りまとめながら、現地の大学関係者や建築家の協力を得て、ようやく成功へとこぎつけたのを覚えている。 会場に入ると、出展者たちの写真がずらりと並んでいた。「世界には、自分と同じ志で頑張っている人がたくさんいる」。頭では分かっていたはずのことが、こうして顔とともに並んでいるのを見ると、ああ、確かにいるんだなあ、としみじみと思い入る。 展示作品は 58 組。スターアーキテクトの巨大建築とは異なる、住宅やインテリア、リノベーションといった、生活に寄り添う規模の仕事がほとんどだ。ドイツ側では、北京の住宅「Peach House」を展示していたFrederic Schnee さんの作品が印象に残った。レンガの扱い方や色味の混ぜ方、ファサードの構成が巧みだ。敷地は中国・北京にあり、入念なリサーチから建築を立ち上げているが、地域性の引用に留まらない建築家の個性が滲み出す作品であった。一方で私が自作を紹介すると、ドイツの建築家は「敷地の小ささ」や「壁の薄さ」に驚いていた。文化の背景が違えば、驚くポイントも違うのだ。 作品を見比べていると、日本とドイツの建築の違いが浮かび上がってくる。日本の建築は柱や梁をあらわにした“間”の建築。線と面が独立し、それらの関係性から空間が立ち現れる。一方、ドイツの建築は建物全体を一つのボリュームとして捉え、ディテールはミニマムに納め、塊として成立させる。この違いを石を積む文化と柱を建てる文化に帰結させるのは短絡的な気がするが、グローバルに情報が行き交い、表現の平準化が進んでいると思われるこの時代に、こと建築の世界では若い世代の作品にはっきりと地域性が表れていることは興味深い発見だった。 また、ドイツでは断熱性能の基準が日本より厳しく、外壁の構造体を露わにしにくいという技術的な事情もある。建築は常に気候・風土・材料といった“地域の必然性”の上に立ち上がる。篠原一男が「民家はキノコである」と語ったように、建築は空から降ってくるものではなく、その場所の気候風土の中から生まれるものだと改めて感じた。 展示を眺めながら、「スターだけが建築文化をつくっているわけではない」とふと思った。むしろ文化を静かに押し進めているのは、地域を見つめ、小さな仕事に誠実に向き合っている“若手”たちなのかもしれない。建築家は未来をつくる仕事だが、その未来は、気候や文化、土地の歴史を丁寧に見つめることでしか始まらない。そのことを、58 組の作品が静かに教えてくれた。 最後に、YAC を企画・運営してくださっている皆様に心からお礼申し上げます。貴重な機会をありがとうございました。 左から第1回(2019年)、第2回(2023年)、そして今回の図録 ドイツ3組、日本4組によるプレゼンテーション(撮影:バンバタカユキ)

ビニールハウスの休憩所

長かった夏がようやく終わり、空気がすこし澄んできました。先日、家族で芋掘りに出かけたとき、思いがけず印象に残る「建築」に出会いました。 畑の一角にあった小さな休憩所。農業用のビニールハウスを転用しただけの簡素な構造ですが、近づいてみると、裾の防水シートが少しだけ巻き上げられ、内と外の関係が絶妙に調整されていました。 外を歩く人の視線は自然に遮られ、中で畳に座る人からは外の風景がほどよく眺められる。光はシート越しにやわらかく届き、風が心地よく通り抜ける。シンプルな素材とさりげない工夫の中に、人が安心して過ごせる秩序がありました。 親子連れが腰を下ろし、会話を楽しみながら過ごす。特別なデザインではないけれど、自然と人が集まり、穏やかな時間が流れています。そんな光景を見ていると、建築の本質は「人がそこにいたくなる場」をどうつくるかにあるような気がしました。 このビニールハウスには、設計者の名前も、図面もありません。けれど、内外の関係を調整する“さじ加減”には、人の感覚に寄り添った知恵が確かに働いていました。こうした無名の空間にこそ、建築の原点がひっそりと息づいているのだと思います。 日常の中に、ふと心に残る空間があります。持参したおにぎりを頬張りながら、そんな感覚を大切にしていきたいと思いました。

【月イチ エッセイ】建築を学ぶということ

建築を学び始めたばかりの学生に向けたショートレクチャーをする機会があり、「建築を学ぶこと」の意味について改めて考えていた。多くの学生が建築士の資格を取ることや格好いい建築をデザインすることを夢見て、建築学科の門を叩いていることだろう。かつての自分を振り返ってみても、「いつかデザイン系の仕事に就きたい」という漠然とした思いの中で建築を学び始めたことを覚えている。あれから20年。建築を学び、設計し、教える中で少しずつ、建築の世界がもっと広いことがわかってきた。 学ぶ時点では抽象的だった建築は、実務に就くとデカくて重いものとして迫ってくる。それは物理的なことだけでなく、責任やプレッシャーといった目に見えない重力も含まれている。何が何だかわからないまま工事は進み建築は立ち上がる。仕事を続けていると徐々に仕組みが見えるようになるのだが、建築のデザインは実に制約だらけだということがわかってくる。この制約を「クリエイティブを縛る足枷」と考えるか、「創造の材料」と考えるか、ここが建築を続けられるか否かの分かれ道なのかもしれない。 レクチャーの中ではスヌーピーの名言「配られたカードで勝負するしかないのさ…」を引き合いに出し、予算や敷地、法律、工期など設計者が如何ともし難い条件=配られたカードと捉えて、手札の中の組み合わせで勝負するのが建築設計であると伝えた。 拙作「OQ」というプロジェクトは、その好例である。コロナ禍の最中、テイクアウトに活路を見出そうとする飲食店のために勝手に始めた「OQ」は、高額の屋台の代替となるような応急屋台の提案である。ここでは、安く・早く・簡単にまるで牛丼の売り文句のような屋台を目指し、①ホームセンターで買える材料で、②使える工具はハサミだけ、③誰でも組み立てられるという、3つのカードを自らに課した。その結果「OQ」は既製品の園芸用支柱やラティスを組み合わせ、簡易屋台として完成した。限られた条件が生んだ創作物と言えるだろう。 このように建築というものは配られたカードでの勝負である。世界は森羅万象、ありとあらゆるモノと、モノ同士の関係によって成り立っている。建築を学ぶことで、私たちはその関係の網目を読み解く力を得る。さらに、その網を編み直し、新たな環境を創造する手を養うことができる。建築を学ぶということはつまり、世界を読み解く眼と、世界を編み直す手を育てることにほかならないのだ。

家づくりの進め方

はじめて家を建てようと思っても、「何から始めればいいの?」という声をよく耳にします。ここでは、家づくりの全体の流れを、できるだけわかりやすくお話ししてみます。 1. 予算を立てる まずは、全体の予算を整理するところから始めましょう。 現在の収入から組める住宅ローンの額を調べ、親御さんからの援助があるかどうかも確認します。家づくりにかかるお金は、土地代や建設費だけでなく、設計料、引越し費用、税金、手数料などいろいろ。 おおまかな目安として、 * 土地:30〜50% * 建物:55〜65%   くらいのバランスが一般的です。 この割合を参考にしながら、立地や新築・リノベーションの方向性を考えていきます。 2. どんな暮らしをしたいか話し合う 「どんな家を建てたいか」というより、「どんな暮らしがしたいか」を考えてみましょう。家族で話しながら、好きな時間の過ごし方、これからの暮らしのイメージを共有します。 新築かリノベーションか、戸建てかマンションか、一番こだわりたいところはどこか。デザインの好みや家族構成の変化など、ライフプランとあわせて整理しておくと、このあとがとてもスムーズです。 3. 設計事務所を探す 土地や物件を探している最中に、設計事務所に相談できると心強いです。候補地を見ながら、「この土地にどんな建物が建てられそうか」「暮らし方に合うかどうか」などを一緒に考えてもらうことで、より前向きな選択ができます。気になる設計事務所があれば、まずは気軽に話を聞いてみましょう。 多くの事務所では無料相談を行っています。いくつか訪ねて、相性や雰囲気を感じてみるのが大切です。設計の考え方や進め方、スケジュールなどを聞いておくと、安心して一歩を踏み出せます。 4. 土地・物件を探す 新築の場合は土地を、リノベーションの場合は中古の物件を探します。同じ広さの土地でも、法律や規制によって建てられるボリュームや高さが変わることがあります。中古住宅の場合は、構造の状態や耐震性(1981年6月以降は新耐震基準)にも注意が必要です。マンションリノベーションでは、管理状況や共用部分の制約も確認しましょう。 設計事務所に相談することで、土地や建物の「可能性」を一緒に探ることができます。 「この土地で、どんな暮らしができそうか」「どんな空間が生まれそうか」といった前向きな視点で考えられるのは、専門家と動く大きなメリットです。 5. 土地先行融資ローンの検討 候補地が見えてきたら、土地を購入するための「土地融資ローン」を検討します。土地先行融資を利用する場合、銀行は「どんな建物が建つのか」を審査します。その際、図面や見積書、設計契約書などが必要になるため、設計事務所に延床面積や構造、概算費用をまとめた「建築概要書」を用意してもらうとスムーズです。 6. 土地・物件の購入 ローン審査に通過したら、いよいよ土地の売買契約です。購入する土地を担保にする場合は、司法書士が抵当権の登記を行います。登記が完了すれば、正式に土地の所有者となります。 7. 設計事務所に正式依頼 \\すでに土地をお持ちの方は、ここからがスタートです。// 土地や物件が決まったら、設計事務所に正式に依頼します。敷地測量図やご要望を伝え、ラフプランを作成してもらいましょう。気に入ったら設計契約を結び、本格的な設計へと進みます。 (詳しい設計の流れは「WORKFLOW」ページをご覧ください) 8. 住宅ローンの仮審査 建築の概要がまとまる「基本設計」が終わるころに、住宅ローンの仮審査を受けます。注文住宅の場合は、建売住宅と違って建物がまだ存在しないため、「つなぎ融資」が必要です。設計料をつなぎ融資に含められる場合もありますが、融資の実行は着工時。それまでの支払いは、自己資金でまかなうケースが多いです。 9. 実施設計・確認申請・見積もり 「実施設計」で細部を決め、設計事務所が建主の代理として確認申請を行います。同時に工務店(複数社に依頼する相見積もり、もしくは1社のみの特命見積もり)に見積もりを依頼し、予算に合わせて調整を行います。金額が確定したら、工務店と工事請負契約を結びます。 10. 住宅ローンの本審査 工事請負契約書・図面・確認済証などをそろえ、金融機関に本審査を申し込みます。この段階で、融資金額と返済条件が正式に決まります。 11. 着工 必要に応じて地鎮祭を行い、いよいよ工事が始まります。設計事務所は監理者として、図面どおりに工事が行われているかを見守ります。工事費の支払いは出来高に応じて3〜4回に分けて行うのが一般的です。 支払いのタイミングは、工事契約時に取り決めておきます。 12. 竣工・引き渡し・住宅ローン実行 施主検査、設計者検査、役所の完了検査を経て、建物が完成します。 その後、土地家屋調査士による「表示登記」、司法書士による「所有権保存登記」および「抵当権設定登記」を行い、住宅ローンの本融資が実行されます。つなぎ融資を利用していた場合は、この本融資で完済となります。 お金の流れの“タイミング”を知る 注文住宅の融資は「段階的」に行われます 注文住宅の場合、建物が完成してから初めて住宅ローンが実行されます。そのため、土地を購入したり、工事費を支払ったりするために、途中の期間をつなぐ「土地先行融資」や「つなぎ融資」という仕組みを使います。 ●土地先行融資(最初の一歩) まず土地を購入するときに、銀行から土地代だけを先に借りるのが「土地先行融資」です。この段階ではまだ建物が存在しないため、土地だけを担保に融資が行われます。抵当権も土地に設定されます。 ●つなぎ融資(工事期間中) 建物の工事が始まると、出来高に合わせて工務店へ支払いが発生します。しかし、住宅ローンは完成後にしか実行されないため、工事中は「つなぎ融資」でその都度、必要な分を借り入れます。たとえば、着工時・上棟時・竣工時の3回などに分けて支払います。 つなぎ融資の期間中は、元金ではなく利息のみを支払うのが一般的です。 ●住宅ローン(完成後の本融資) 建物が完成して登記が済むと、いよいよ住宅ローン(本融資)が実行されます。この資金で、それまでの土地先行融資とつなぎ融資をまとめて返済します。以後は通常の住宅ローンとして、毎月の返済が始まります。 注文住宅の特徴 建売住宅やマンションのように「完成品を購入」する場合は一括の住宅ローンで済みますが、注文住宅では「土地→設計→工事→完成」と時間をかけて進むため、このように段階的にお金を動かす仕組みが必要になります。仕組みを理解しておくと、無理のない資金計画が立てられます。 「家づくりの相談先」について、少しだけ本音を。 最近では、ショッピングモールなどに「住宅相談カウンター」があり、気軽に家づくりの相談ができるようになっています。初めての方にとっては身近で便利な存在ですが、私はあまりおすすめしていません。 こうしたカウンターの多くは、登録している住宅会社や工務店にお客様を紹介し、その紹介料を受け取る仕組みになっています。つまり、表向きは無料相談でも、実際にはその紹介料が住宅会社の見積もりに上乗せされていないとは限りません。結果的に建物本体にかけられる予算が減ってしまう可能性があります。また、紹介可能な会社の中からしか選べないため、選択肢が偏りやすいというデメリットもあります。 一方で、建築設計事務所はもっと自由で開かれた場所です。敷居が高く感じられるかもしれませんが、相談だけであれば無料で対応している事務所も多く、「気難しい建築家」というイメージも、今ではだいぶ昔の話になりました。また、ハウスメーカーや工務店との家づくりでは担当者との相性は運任せです。「担当者ガチャ」という言葉もあるそうですが、建築家の場合は担当スタッフがいるとしても、お客様とのやり取りの中心は建築家本人になります。そうであれば、無料相談やラフ提案の段階で相性の良し悪しを試すことができますので、運任せではなく、ご自身の意思によって選択することができます。 具体的な要望が決まっていなくても大丈夫です。「こんな暮らし方をしてみたい」「土地を見てもらいたい」など、漠然とした段階から話し始めても構いません。家づくりは、相談の瞬間からすでに始まっています。 どうか、仕組みが複雑で見えにくいサービスに惑わされず、自分たちに合ったペースで、納得できるかたちの家づくりを進めてください。もし迷ったときは、建築家に直接声をかけてみるのが一番の近道です。 内容に関するご質問や個別のご相談は、お問い合わせフォームからお願いします。